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2017年8月1日火曜日

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を観ました。


ボストンで便利屋として働くリーは、兄の死をきっかけに故郷に戻ります。ところが兄の遺言により、残された甥・パトリックの後見人を務めることになり、やむなく町に留まり、パトリックと共に暮らし始めます。



かつて故郷の町で友人や家族に囲まれながら明るく過ごしていたリーが、なぜボストンの陰鬱な部屋で愛想のない便利屋をすることになったのか。次第に明らかになっていくリーの過去には、思わず目を覆いたくなります。

時間が解決してくれる傷もあれば、自分の努力や心の持ち方で克服できる過去もあるけれど、どんなに時間が経っても癒えない傷や乗り越えられない痛みもあり、その存在とともに残りの人生を生きていかなければならないこともあるのですね。



とはいえ、決してつらく哀しいお話ではなく、傷を抱えながらも生きる強さや、寄りそう人間の温かさが伝わってきてじんわりと感動します。
早世してしまう兄・ジョーが、弟のことを思ってしたためたであろう遺言に、大きな愛を感じました。


2017年3月20日月曜日

「LA LA LAND」

「LA LA LAND」を観ました。



鮮やかなドレスと陽気な音楽が溢れて、心浮き立つ昂揚感にひたれる前半。お金がなくても、愛と夢があれば人生は楽しいということが直球で伝わってきます。




次第にすれ違っていく二人の気持ちに切なさを感じながら観ていましたが、ラストシーンの演出には思わず涙……。

歳を重ねれば重ねるほど「もしもあのとき……」というタラレバ案件は増えるものですが、振り返って当時の自分の選択をときに肯定し、ときに悔やんだりしながら、大人になっていくのですね。しみじみと感じ入りました。

最高にロマンティックな気分を味わえる、とても素敵な映画でした。

2016年11月15日火曜日

「ヘイル、シーザー!」

「ヘイル、シーザー!」を観ました。




1950年代のハリウッドにて超大作映画「ヘイル、シーザー!」の撮影中、主演俳優が何者かに誘拐されてしまい、スタジオの「何でも屋」が、個性豊かな俳優たちを巻き込みながら事件解決に向けて動きます。





なまりがキュートなオールデン・エアエンライク。慣れないスーツを着てぎこちなく動く姿に萌えます。






わがままな女優スカーレット・ヨハンソンとか、大スターなのに演技が終わると眉が下がりっぱなしのジョージ・クルーニーとか、みんなアクが強いのに憎めない、愛すべきキャラクターに仕上がっているのが楽しい。

コーエン兄弟といえばサスペンスですが、こちらはまったりしたコメディ。サスペンス作品のような衝撃はありませんが、映画への愛に溢れており、観た後は温かい気持ちに。もっともっと映画を観たくなります。



2016年11月9日水曜日

「レヴェナント 蘇えりし者」

「レヴェナント 蘇えりし者」を観ました。




瀕死の状態で荒野にひとり置き去りにされてしまったハンターが、殺害された息子の復讐のために壮絶なサバイバルに挑みます。

セリフのほとんどは「ウォォ……グッ……!!」という熊のような唸り声と、「フゥ、、ヒィ、、、」という気道から空気が漏れてるような喘ぎ声ばかりですが、生魚に喰らいつき、鼻水とよだれを垂らしながら地べたを這いずりまわるワイルドなレオナルド・ディカプリオ! 目が離せません。




極寒の自然の中、グリズリーに原住民、そして味方も! とにかく敵が多すぎて、ずっと緊張して息をひそめて観ていた2時間半でした。たまに映るたき火や獲物の肉が温かそうでホッとしたな……。

「ロミオとジュリエット」を演じた頃の美青年ディカプリオの面影はありませんが、傷だらけで小汚いひげ面の中にのぞく青い目の美しさには本当に引き込まれます。息子への強い思いだけで生き抜いてきたのに、復讐を遂げても息子が戻ってくるわけではなく……そんな空虚さが感じられる最後でした。

2016年11月6日日曜日

「リリーのすべて」

「リリーのすべて」を観ました。




世界で初めて性別適合手術を受けたリリー・エルベと、その妻ゲルダの夫婦の絆を描いた作品。

アイナーは、画家の妻ゲルダから女性モデルの代役を依頼されたことをきっかけに、自分の中に潜む女性「リリー」の存在を自覚。以来、心身が一致せず、次第に不安定な状態になっていきます。




リリー(アイナー)役のエディ・レッドメインの可憐なことといったら! 伏し目がちに女性を観察してしぐさをまねしたり、鏡の前でポーズをとったりする姿が繊細でいじらしくて、まるで生まれたての小鹿のよう。




あきらめも手伝って、アイナーがリリーとして生きていくことを受け入れ、支えていくことを決意した妻のゲルダもまた、愛する「夫」がいなくなってしまったことに苦悩します。
ただ、ゲルダも、支えてくれる友人のハンスも、みんな寛容でいい人すぎて、なんだかきれいにまとまりすぎてるところが少し引っかかるかな……。

適合手術がうまくいかず最終的にリリーは亡くなってしまいますが、リリーにとっては偽りの姿のままでいることの方がつらかったのだということが切ないほどに伝わってきました。


2016年7月18日月曜日

「ゴーン・ガール」

「ゴーン・ガール」を観ました。




結婚5周年の記念日に、キッチンに大量の血痕を残して妻エイミーが突然姿を消し、順風満帆にみえたニックとエイミーの夫婦の日常が破綻。ニックは妻の行方を心配しますが、次第に世間から妻殺しの疑惑の目が向けられるようになり、孤立していきます。


ずっと観たかった「ゴーン・ガール」。今さら感はありますが、どうしても夏に観たかったんです(怪談話として)。

できるだけネタバレは避けて、前情報を入れずに観ましたが、本当におもしろかった!町山智浩さんが「ジェットコースター映画」と評していましたが、予想を裏切る展開の数々で、驚いたり爆笑したりゾッとしたりと、振り回されっぱなしでした。




二人がしあわせだったころのキラキラしたエイミー。知的で美人で、まさに「パーフェクトエイミー」。その後に続く姿との対比がすごい……。


昔はイケメン枠だったのに、今やすっかり情けない夫が板についたベン・アフレック。そういえば、ゴーン・ガールの公開後に私生活でもナニーと浮気して離婚とか報じられていたような……。


ずいぶん高低差の激しいジェットコースターに乗った気分にはなりましたが、最後のエイミーが言う「結婚ってそういうものよ」という言葉が、すとんと腹に落ちました。結婚生活って、平たく言うと「山あり谷あり」ですよね。


ロザムンド・パイクといえば、マッシヴアタックのクールなMVも素敵だったな。




2016年7月16日土曜日

「オデッセイ」

「オデッセイ」を観ました。




有人火星探査ミッションの遂行中に突発的な事故に遭い、独りで火星に取り残されてしまった宇宙飛行士のワトニー。サバイバルに必要な食糧も酸素も水も足りない中、なんとかして地球と通信し、生還しようと奮闘します。





よくあるSF映画かと思いきや、植物学者であるワトニーがじゃがいもの栽培を試みたり、昔の通信機を使って信号の送受信をしたりと、トライ&エラーを繰り返しながらコツコツと壁を乗り越えていく姿に悲壮感はなく、ここは火星だというのに共感すら覚えます。

「火星でひとりぼっち」といういわば絶体絶命な状況下だというのに、ずっと70年代のディスコミュージックが流れているのも、とにかくおかしくて。

隕石が落ちてきたり、地球で待つ家族が泣き叫んだり、ヒーローが人類を救ったりするような派手さはないけれど、じわじわと笑える楽しい作品でした。

2016年7月13日水曜日

「サウルの息子」

「サウルの息子」を観ました。



アウシュヴィッツ強制収容所で、ゾンダーコマンド(強制収容所内の囚人による労務部隊)の一員として死体処理をしていたハンガリー人のサウルは、ガス室で殺されたユダヤ人の中に少年の死体を見つけ、彼にユダヤ教に則った埋葬を施そうとして奔走します。


……なんとも腹にずしんと響く、重い映画でした。

囚人たちが、直視できないほどの過酷な環境の中で生きていることが強く伝わってくる、狭い視野とぼやけた背景。美しい色や笑顔や歌声は何一つ映らず、目をそむけたくなるものばかりが目に入ってきます。

なによりも、この映画が実際にゾンダーコマンドたちが残した手記に基づく話だということが恐ろしい。





はじめは、なぜサウルがそこまで「息子」にこだわるのか、よくわからなかったんです。

でも、数時間後の未来でさえ予測できない現実の中で、死体とはいえ、少年に愛情を注ぐことや、少年の「復活」のためにきちんと埋葬してあげることが、サウルなりの夢や希望につながるものだったのかもしれない。

ずっと無表情だったサウルが笑顔を見せる最後のシーンに、そんな風に感じました。


2016年6月26日日曜日

「わたしはロランス」

「わたしはロランス」を観ました。



女性になりたい男性ロランスと、その恋人フレッドの愛を描いた作品。

ロランスの最大の理解者になりたいと思いつつも、彼に「男」を求めてしまうフレッドと、見た目は変わっても、月日は流れても、中身は今まで通りで二人はスペシャルだと考えるロランスのすれ違いが切ない。

予備知識ほとんどなしで観たので、はじめはセクシャルマイノリティの葛藤とか世間からの偏見とかを描いているのかと思っていたのですが、そうではなくて、ごく個人的な愛のお話。

最近はラブストーリーにほとんど心を動かされなくなってきたのですが、これには最初から最後まで心をわしづかみにされっぱなしでした。





二人の逃避行に洋服が舞い散るシーンとか、本当に素敵。





ラストの枯れ葉が舞い散るシーンもたまらなくよかった!

まさに、まばたきするのも惜しいくらいの映像美。
80年代、90年代のカルチャーや音楽をうっとりと堪能できる、最高の映画でした。映画館で見逃したことが悔やまれます。

2016年6月8日水曜日

「17歳」

「17歳」を観ました。




裕福な家庭に育った17歳の美しい少女イザベルが、SNSを介して男性たちと知り合い売春を重ねていく過程を、季節の移ろいとともに彼女自身の自我の変化を見せながら描いた作品。

お金のためでも好奇心でもなく、背徳的な冒険に衝動的に身を投じるなんて、まさに思春期……!


イザベル役のマリーヌ・ヴァクトは本当に美しくて、まるでお人形のよう。感情が希薄で、表情の変化に乏しいイザベル役にぴったりです。




嫌な客に変なプレイを強要されたあげく、お金ももらえないでへこんでいる顔も美しい。





フレンチシックな水着も素敵。フランソワ・オゾン監督は、「スイミングプール」でも水着選びが素敵だったな。




そして、最後に登場するランプリングの貫禄といったら! ほんの数分しか登場しないのに、圧倒的な存在感。
かつて若くて美しかった女と、今が若くて美しい女の対峙が見事でした。

2016年5月10日火曜日

「キングスマン」

「キングスマン」を観ました。




どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関「キングスマン」の諜報員たちが、人類抹殺計画を進める凶悪な敵に立ち向かう姿を描くお話。

「キック・アス」のマシュー・ボーン監督で、コリン・ファースが仕立てのよいブリティッシュスーツに身を包みアクションするなんて、おもしろいに決まってる!






悪役のアメリカ人IT長者はスーツ姿にキャップをかぶっちゃったり、会食にマックを出してきたりして、なかなか風刺がきいています。

その用心棒役ガゼルは黒髪にぱっつん前髪で、Kill Bill風? 義足で殺戮していくシーンは、キレのいいダンスアクションを観ているようで痛快です。

最後のガゼルとエグジーの対決シーンではGive It Upが流れて、もう何がなんだか。手に汗握るシーンなのに、思わず笑ってしまいました。

観た後は、誰かと合言葉「ブローグではなくオックスフォード」を言いたくなること間違いなし。続編も楽しみです。

2016年4月20日水曜日

「フレンチアルプスで起きたこと」

「フレンチアルプスで起きたこと」を観ました。



ワーカホリックの夫が家族サービスとしてフレンチアルプスに家族をスキーバカンスに連れてきますが、そこでなんと雪崩発生。しかし、夫はスマホを手に、一人でさっさと逃げてしまった……!



雪崩自体は大したものではありませんでしたが、家族を置いて逃げた夫の姿に妻は失望して不信感を募らせ、楽しいはずのバカンス中、家族に不協和音が生じます。

あまり責めちゃいけないと思いつつも、厳しい口調で夫を非難してしまう妻。そして、それに耐え切れずにどんどん退行していく夫……。
シリアスな話であるはずなのに、夫の赤ちゃん返りっぷりがおかしくて、まるで喜劇。




不穏な音楽とうるさい音と相まって、初めはある夫婦の問題に過ぎなかったざわつきが、相談されたカップルも巻き添えをくらったり、遭難未遂があったり、バス事故未遂があったりと、どんどん大きな不安へと膨れ上がっていくのは、まさに雪崩のよう。

私も妻側の視点から、情けない夫に腹を立てたりあきれたりしながら観ていましたが、とはいえ、父親とはこうあるべきとか、家族はこうあるべきといった理想のハードルを高くしているのは女にも一因がありますよね。

男の人というのは「男らしさ」という重圧を背負って生きているのだなと、少しかわいそうになりました。

2016年4月13日水曜日

「華麗なるギャツビー」

「華麗なるギャツビー」を観ました。



フィッツジェラルドの大好きな作品「グレートギャツビー」。

裕福なお金持ちたちの無責任な暮らしぶりと、全人生をかけた復活愛の行方がド派手に描かれています。

すべての人物の登場シーンが派手ですが、なんといっても、レオナルド・ディカプリオの芝居がかった完ぺきな笑顔が最高!




デイジー役のキャリー・マンガンの可憐なことといったら!

かわいいけれど人に流されやすいデイジーのイメージにぴったりでした。着ているドレスがどれも素敵で、特にこのレースのドレスがとってもかわいかった。




そして、線の細そうなニック。百面相状態のギャツビーとは対照的に、穏やかに微笑んでいるか、もしくは怪訝な顔、悩ましげな顔ばかり。

原作とはまた感想が異なりますが、これはこれでエンターテイメント性充分でおもしろかったです。特に、ギャツビーとデイジーが再会するシーンは本当にピュアで引き込まれます。

初回はIMAXの3Dで観たところ、目は疲れたけれど、豪華な世界観が楽しめました。

2016年4月8日金曜日

「バードマン」

バードマンを観ました。




かつて「バードマン」を演じてスター俳優となったものの、それ以降はヒット作に恵まれずみじめな生活を送る主人公リーガン。アクション俳優から脱却するためにブロードウェイ進出を図るも、いつしか自分を嘲笑するかのような「バードマンの声」に悩まされるように。

黒いバードマンに超ブラックなストーリー。リーガン含め、娘のサムも女優のレズリーも、皆一様に必死なのに、どこかおかしくて哀しい。




そんな中、ほとんどブリーフ姿で演技派マイクを演じるエドワード・ノートンがたまらない!

酸欠になりそうなカメラワークも、いちいちドコドコとうるさいドラムロールも、イライラする低いささやき声も、落ち着かない気持ちながら画面から目が離せず、あっという間の2時間でした。

2016年3月7日月曜日

「ハイネケン誘拐の代償」

「ハイネケン誘拐の代償」を観ました。



1983年に実際に起きた、ビール会社ハイネケンの経営者誘拐事件。

銀行の融資が受けられず仕事は八方ふさがり、もうすぐ子どもも生まれるしお金が必要、でもコツコツ真面目に働いて稼ぐなんて……という地元の若者グループが、一攫千金を狙って大富豪ハイネケンを誘拐します。

みんなで知恵を出し合ったり励ましあったりしながら、ゲームのような感覚で大胆不敵に進めていきますが、人質をとってからが計画通りにはいかず、少しずつ歯車が狂い始めます。




仲のよかった幼馴染たちは、はじめはちょっとした悪だくみのような楽しさも秘めていたのに、身代金を手にする頃には疑心暗鬼に満ち、互いに背を向けあうように。

結局、実行犯は全員捕まってしまうのですが、「裕福には2通りある。多額の富を得るか、大勢の友人を持つか。両方はあり得ない」というハイネケンの言葉が沁みました。

ところでこの映画、原題は“Kidnapping Mr.Heineken”。邦題で「代償」と入れてしまったのはネタバレ的なつまらなさを感じます……。

2016年2月12日金曜日

「わたしに会うまでの1600キロ」

「わたしに会うまでの1600キロ」を観ました。




母親を亡くしたショックから道を踏み外した主人公シェリルが、立ち直るために自分に課す3カ月1600キロのトレイル。

「人生には、バカなことをしなきゃ、乗り越えられない時がある」ということですが、とはいえ、真面目で教養がある人間ゆえに徹底的に自分を追い込もうとするのは、観ていて本当に痛々しい。

先週観た「しあわせはどこにある」の生ぬるい自分探し物語とは対照的に、こちらは超ストイック、もはや修行です。




初めはただただつらいだけのトレイルも、仲間に出会ったり、人の優しさにふれたりして、シェリルの顔から次第に険がとれて柔らかい表情になっていくのに安心します。
観ている方も、少しずつ周りの雄大な景色を楽しむ余裕が持てるように。



母親役のローラ・ダーンの、太陽のような存在感!いつも陽気で、少女のようにかわいらしいお母さんでした。


なつかしの「キューティ・ブロンド」では明るく勝気なブロンド役をしていたリース・ウィザースプーンですが、痩せこけた姿でヘロイン打ってラリってる姿も見事でした。


2016年2月5日金曜日

「しあわせはどこにある」

「しあわせはどこにある」を観ました。



サイモン・ペッグといえば、大好きミッションインポッシブルのベンジー・ダン!
そのサイモン演じる精神科医のヘクターが、「しあわせとは何か」という壮大なテーマを掲げて、自分探しの旅に出るお話です。

安定してはいるけれど代わり映えのしない日常に疑問符をつけ、世界各地を巡りながら最終目的地である「元カノのところ」へと向かうヘクター。





ヘクターが平穏な毎日を送れているのも、ロザムンド・パイクが演じるクララという完ぺきな恋人のおかげだというのに、刺激を求めて安定を手放そうとする姿には、女からすると「おいおい……」という感じではあります。

とはいえ、繰り返される日常の中で、自分にとってのしあわせを見失ってしまうというのはありがちなこと。

深刻な自分探し・しあわせ探しというよりは、気楽さ漂う旅行映画といったところですが、金曜日の夜にお酒を飲みながらこういう気軽な映画を観ているときに、ふとしあわせを感じたりするんだよなぁと思ったりしたのでした。

2015年8月4日火曜日

「アリスのままで」

「アリスのままで」を観てきました。


コロンビア大学の教授である言語学者のアリスが50歳で若年性アルツハイマー病と宣告され、病と闘い、受け入れていく日々が描かれています。病気が遺伝性のものであることを伝えたときの子どもたちの微妙な反応や、変わりゆく妻の姿を直視できない夫の姿など、生々しくて、苦しくなりました。

アリスは病気によって多くのことを忘れていってしまうけれど、その時その時ごとに喜びや悲しみなどの感情を味わっているのであり、当たり前だけれど、きちんと存在し、生きているのですね。

普通の闘病記のように、難病のつらさをクローズアップして、アリスを悲劇のヒロインに仕立て上げるのではなく、一人の人間として生き生きと描かれていたことが素晴らしく、それがなおさらに病気の恐ろしさを際立たせていました。


大好きなジュリアン・ムーアは本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞! 充実した毎日を送る美しく知的な女性が、病魔に怯え、苦悩し、そして病気の進行とともに次第に表情を失っていく様子は胸に迫りました。



足を運んだ109シネマズ二子玉川では、「アリスのままで」の隣のスクリーンで「アリのままでいたい」という昆虫ドキュメンタリーを上映中。あまりの紛らわしさに、チケットを間違えて購入してしまっていないか、何度も確認したのでした。

2015年5月15日金曜日

「セッション」

「セッション」を観てきました。



音楽大学に通うニーマンは、名門フレッチャー教授のバンドにスカウトされて意気揚々と練習に参加するも、待ち受けていたのはフレッチャーの異常なまでに完璧主義のレッスン。それでも、フレッチャーの期待に応えようと練習に練習を重ねますが、罵声を浴びせられ、理不尽な罠を仕掛けられ、ニーマンはじりじりと追い詰められていきます。

ほとばしる汗、繰り返される怒号と罵声、文字通り血のにじむ努力……。ドラマーが主人公の青春映画、くらいの軽い気持ちで観に行ったら、ほっぺたを勢いよくぶん殴られた感じ。「これはロッキーか!?」と思うほどに、超体育会系の作品でした。

汚い足の引っ張り合いや仕返しに次ぐ仕返しに、ただただあんぐりと口を開けて観るほかはないのですが、それがただの泥仕合に終わらないのは、両者に一貫した音楽愛が感じられるから。メトロノームのように静かにセッションのリズムを支える役割を果たすこともあれば、叩きのめすかのごとく打ちまくり、荒れ狂う嵐のような音を奏でることもあり、ドラムという楽器の振り幅の広さを改めて見せつけられました。


2011年1月11日火曜日

恵比寿ガーデンシネマ

TOHOシネマズのカードを作ってからというもの、すっかり映画は六本木、ポップコーンはキャラメル派になってしまったけれど、思えば20代前半の頃はミニシアターが大好きで、よく足を運んだものです。

一番好きだったのは銀座のシネ・ラ・セット。ごちゃごちゃした入り口を上っていく、あの雰囲気がお気に入りでした。でも、もう閉館してからずいぶん経ちましたね。そして、もっともよく通ったのが、銀座のシネスイッチと恵比寿ガーデンシネマ。ガーデンシネマ、今月末で閉館してしまうのがなんともさみしい限りです。

ほかの映画館が「観たい映画があるから行く場所」だったのに対し、ガーデンシネマは「ガーデンシネマに行きたいから映画を観る」場所でした。上映時間よりずっと早めに行って整理券を受け取って、それから三越の中にあるAfternoonTea(まだあるのかしら?)でお茶をしたり、ガーデンシネマに行くときしか訪れないガーデンプレイス内をうろうろしたり。


子どもが生まれたら行けなくなる場所NO.1は映画館だろうと思っているのですが、保育園に子どもを預けて職場復帰したら、いつか平日に仕事を休んでガーデンシネマで映画を観たいなぁなんて夢見ていた私としては、閉館はなんともがっかりなニュースでした。


恵比寿ガーデンシネマで観たものを思いつくままに挙げてみると…


・ハムレット
・イギリスから来た男
・パンチドランク・ラブ
・ギター弾きの恋
・マッチ・ポイント
・カポーティ
・父、帰る
・ダージリン急行
・ブロークンイングリッシュ
・パリ、恋人たちの2日間
・ボーリング・フォー・コロンバイン
・華氏911

恵比寿ガーデンシネマでは、ウッディ・アレン作品をたくさん観たような記憶がありますが、意外と思い出せないものですね…
…。今上映中の、過去の上映作品のベストセレクションの中では、「ゴーストワールド」を観たかった!




お気に入りの場所が姿を消してしまうのはさみしいものですね。できる限り時間を見つけて、残り少なくなったミニシアターに足を運びたいです。