2006年4月21日金曜日

『世界の果てのビートルズ』

『世界の果てのビートルズ』 ミカエル・ニエミ

私はおそらくあまり熱心なビートルズファンではないし、アルバムだって、そんなにたくさん持ってません。

でもビートルズのことはとても好きだし、2002年のポールの来日公演で「ジョージに捧げる」といってジョージのウクレレでポールがSomething歌ったときには胸が熱くなったものです。「ボクがこうやって(ゆっくり)ウクレレ弾くとね、ジョージが "No, No, No" と言ってこうやって(速く)弾くんだよ」とか言ってさ。

本作はビートルズの本ではなく、ビートルズを聴いて「うわー!」となったスウェーデン奥地の少年の話です。

ビートルズファンならば、きっとどこかに共感できるところがあるはずで、久々に、あぁいい本にめぐりあったなぁという気分になりました。本屋大賞も、納得。

2006年4月13日木曜日

『沖で待つ』

『沖で待つ』 絲山秋子

とりたてて文章が美しいわけでもないし、文体やテクニックが抜群に優れているとかいうわけでもなく、堅実な、というか、地味な本。

しかし、この地味な日常が、あまりに自分の毎日と似通っていて、いやたぶん、私だけじゃなくて、この話に共感するサラリーマンは多いのでは。面白いとか面白くないとか言ってる前に、仕事に一生懸命にならざるをえないような、そんな毎日。

友達や家族ほど近しくはないけれど、確実に自分の「仲間」である同期。将来、誰かが出世したとか左遷されたとか、人間関係が微妙になるのかもしれないけれど、それでも、あの新入社員時代を一緒に過ごしたというだけで、連帯感を覚える人たち。

その同期との居心地の良い距離感を思い出し、読み終わった後は、同期が恋しくなりました。