2015年8月4日火曜日

「アリスのままで」

「アリスのままで」を観てきました。


コロンビア大学の教授である言語学者のアリスが50歳で若年性アルツハイマー病と宣告され、病と闘い、受け入れていく日々が描かれています。病気が遺伝性のものであることを伝えたときの子どもたちの微妙な反応や、変わりゆく妻の姿を直視できない夫の姿など、生々しくて、苦しくなりました。

アリスは病気によって多くのことを忘れていってしまうけれど、その時その時ごとに喜びや悲しみなどの感情を味わっているのであり、当たり前だけれど、きちんと存在し、生きているのですね。

普通の闘病記のように、難病のつらさをクローズアップして、アリスを悲劇のヒロインに仕立て上げるのではなく、一人の人間として生き生きと描かれていたことが素晴らしく、それがなおさらに病気の恐ろしさを際立たせていました。


大好きなジュリアン・ムーアは本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞! 充実した毎日を送る美しく知的な女性が、病魔に怯え、苦悩し、そして病気の進行とともに次第に表情を失っていく様子は胸に迫りました。



足を運んだ109シネマズ二子玉川では、「アリスのままで」の隣のスクリーンで「アリのままでいたい」という昆虫ドキュメンタリーを上映中。あまりの紛らわしさに、チケットを間違えて購入してしまっていないか、何度も確認したのでした。

2015年8月3日月曜日

Repetto ポシェット



6月中旬から7月末まで入院していたので、夏物セールは行けずじまい。

とはいえ、病院のベッドの上で見ていたオンラインストアで、このバッグを買いました。

長財布がギリギリ収まるような小さなポシェットですが、上の子の保育園の送り迎えのときなどは、スマホと鍵だけ入ればいいかな、と。

2015年8月1日土曜日

『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』

『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』ジュノ ディアス

すごい本を読んでしまった……。本を読んでこんなに興奮したのは久しぶり!

主人公オスカーの饒舌すぎるオタクっぷりを暑苦しく、疎ましく感じながら読み進めていくと、次第に彼の圧倒的な知識と純粋すぎる人間性に引き込まれ、いつしかオスカーのことが大好きになっている自分に気づきます。

「短く凄まじい」のとおり、とにかくスピード感のある作品。はじめは文字量が多いこともあってなかなかスムーズに読み進めていけなかったのだけれど、第1章が終わるころにはページをめくる手を止められなくなっていました。

オスカーを通して語られる細かすぎるサブカル情報を除けば、暴力とセックスばかりが描かれるアクの強すぎるお話ですが、なぜか読後感はすがすがしく爽やかで、最後には不覚にも涙を流しました。好みは分かれるところだと思いますが、誰かとお酒を飲みながら感想を共有したい一冊です。

2015年7月30日木曜日

『月と蟹』

『月と蟹』道尾秀介

鎌倉の海と山の景色だけでなく、そこに吹く風の音や、山道のじめっとした湿気までも感じられるような豊かな描写で、まるで自分が鎌倉で幼少期を過ごし、大人になってその思い出を振り返っているかのような不思議なノルスタジーを味わいました。切迫早産で入院中に読んだので、殺風景な病室を抜け出せたかのような気持ちのよい読書タイムでした。

おそらく本作を映像で表すと、陳腐な家族ドラマにしかなり得ないのだろうけれど、小説ならではの情緒にあふれた作品で、読書のすばらしさを改めて確認しました。

2015年7月26日日曜日

『64(ロクヨン)』

『64(ロクヨン)』横山秀夫

NHKの連続ドラマがすごく面白かったので、すぐに原作を借りてきて、もうすぐ臨月の大きなお腹に分厚い本書を乗せ、手に汗にぎりながら一気に読みきりました。

未解決の幼女誘拐事件がストーリーの柱ではあるものの、いわゆる犯人探しのサスペンスではなく、事件扱う警察内部の人間関係を描いた社会派小説とでもいうべき作品。

世の中で最も正義的なイメージのある警察(県警)における政治事情、腹の探りあいと足の引っ張り合い、根回し、裏工作、心理戦……大の大人の男たちが、困ったり焦ったりにやついたり弱ったりしているようすを、善良な一般市民の視点から気持ち悪く眺めた感じ。警察といえども、組織とは多かれ少なかれドロドロを含んでいるのでしょうね。

ちなみに、NHKドラマは原作にかなり忠実に作られており、よくまとまっていたなぁと感心。胎教にはよろしくなさそうだけど、また折をみて観返したいです。

2015年7月1日水曜日

『キャプテンサンダーボルト』

『キャプテンサンダーボルト』伊坂幸太郎・阿部和重

合作とは思えない合作。どちらがどこを担当したのかさっぱりわからないほど上手にブレンドされており、素直に1つの作品として楽しめます。

話のテンポが悪かったり、盛り上がるべきところがあっさりしすぎていたりと、やや物足りない部分があるのも事実。率直に言って、『ゴールデンスランバー』の方が断然おもしろい。

それでも、二人の主人公が知恵を出し合い、励ましあいながら敵に向かう姿は、まさにプライベートでも仲良しだという作者二人に重なる部分があって、なんだかもう微笑ましくすらあります。

あまり深く考えずに一気に読み通して、ハラハラドキドキの世界を楽しんだら、それでいいんじゃないかな。

2015年6月1日月曜日

『フランス人は10着しか服を持たない パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣』


「フランス人は10着しか服を持たない パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣」ジェニファー・L・スコット

断捨離の参考になるかなと思って読んでみました。

手間隙かけて料理を作り、食事の時間を家族で大切にすること、普段着にこそ上質なものを取り入れ、余分な物は所有しないこと――これは、日本でいうところの『クロワッサン』や『天然生活』あたりが唱える「ていねいな暮らし」なのでは。

とはいえ、日本の「ていねいな暮らし」がいささかほっこりし過ぎるのに対し、パリの「シックな生活」はもっと色気のある印象。例えば、パリにおける「シルクの下着」は、レースがふんだんに使われた繊細なデザインのものを指すのに対し、日本におけるシルクの肌着といえば、5本指靴下だったり腹巻だったりするわけですから……。

ちなみに、原題は“Lessons from Madame Chic: 20 Stylish Secrets I Learned While Living in Paris”。編集者はずいぶん扇情的な邦題を付けたものですね。