『月と蟹』道尾秀介
鎌倉の海と山の景色だけでなく、そこに吹く風の音や、山道のじめっとした湿気までも感じられるような豊かな描写で、まるで自分が鎌倉で幼少期を過ごし、大人になってその思い出を振り返っているかのような不思議なノルスタジーを味わいました。切迫早産で入院中に読んだので、殺風景な病室を抜け出せたかのような気持ちのよい読書タイムでした。
おそらく本作を映像で表すと、陳腐な家族ドラマにしかなり得ないのだろうけれど、小説ならではの情緒にあふれた作品で、読書のすばらしさを改めて確認しました。
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