2016年10月31日月曜日

『怒り』

『怒り』 吉田修一

残虐な殺人犯が顔を整形して逃亡中、あちこちで素性の知れない若い男の正体をめぐって、小さな波紋が広がります。

一度は受け入れたはずの相手なのに、疑いだしたらきりがなくなってしまい、ギリギリのところで信じることができなくなってしまう。皆、葛藤し、試すような裏切るような行動をとってしまうのが哀しい。

英会話の外国人講師殺人事件がモデルになっているそうですが、その事件の顛末より、整形して逃亡していた犯人の顔が一般公開された際、「知人が犯人に似ている」という電話が多くかかってきたことに着目して書かれたのが本書とのこと。

「相手の何を知れば信じることができるのか」という問いが重かったです。


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