共同通信社の記者が、世界各地の食のようすを取材し、リポートする本。そんな予備知識しかなく、「たぶん、沢木耕太郎『深夜特急』のようなグルメ旅行記だろう」という予想を抱いてこの本を手に取ったのだけれど、数ページ読んで、この予想は大外れだったことに気づきました。
まず、グルメ本ではない。そして、旅行本でもありません。数々の取材の裏にあるのは、そこで暮らす人々への深い洞察と、その数ページを書くために何十冊もの文献を調べたであろう、それぞれの歴史や文化への理解。
各地の郷土料理に混ざって、人肉食あり、放射能汚染あり、囚人食あり。淡々とリポートされる世界各地の食のようすを読みながら、人間にとって「食べること」とは何かを深く考えさせられました。最初は図書館で借りて読みましたが、すぐに本屋に走って自宅用に新しいものを買い求めました。何度も読み返したい一冊です。
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