『謝るなら、いつでもおいで』川名壮志
2006年に佐世保で起きた、小6女児による同級生殺害事件のノンフィクション作品。加害者が「14歳未満の少年」であるがゆえに、「“なぜ”自分の娘が殺されたのか」という遺族の問いが届かないむなしさ、やるせなさ。
遺族、加害者の家族、著者を含めたその周りの人々……皆、一様に悲痛で、えぐられるような胸の痛みがあり、読み進めるのが本当につらかった。
でも、元新聞記者である筆者の「被害者の遺族にかなり近しい第三者」という特異な視点のおかげで、はじめは遺族に同情し、加害者女児に対する不信感や怒り全開だったものの、そのうちに加害者少女の現在や将来について思いを馳せ、彼女の「可塑性」を信じたいと思えるようになっていきました。
タイトルとなっている「謝るなら、いつでもおいで」は、殺害された女児のお兄ちゃんの言葉。絶望の中に一筋の光が示されているのが救いでした。
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