『柔らかな頬』 桐野夏生
一作目に読んだ『out』がトラウマになり、桐野夏生が苦手なのですが、解説(福田和也)に惹かれて久しぶりに手に取りました。
テーマは「“絶望を受け入れる”という救われ方について」。
現実社会で生きるには、哀しんだり怒ったり凹んだりしながら絶望を消化していかなければならないのだけれど、絶望感が大きければ大きいほど、それはとても難しい。
本作は最愛の子供が失踪した、という絶望を母親が何年もかけて受け入れて行く過程が描かれています。とても考えさせられるテーマだし、とても読みやすく、『out』みたいな薄気味悪さもあまりありません。きっと、上巻を読み終わったらすぐに下巻を買いたくなると思います。
でもたぶん、絶望に取り込まれて、読み返す気は起きないかな……。
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