「アリスのままで」を観てきました。
コロンビア大学の教授である言語学者のアリスが50歳で若年性アルツハイマー病と宣告され、病と闘い、受け入れていく日々が描かれています。病気が遺伝性のものであることを伝えたときの子どもたちの微妙な反応や、変わりゆく妻の姿を直視できない夫の姿など、生々しくて、苦しくなりました。
アリスは病気によって多くのことを忘れていってしまうけれど、その時その時ごとに喜びや悲しみなどの感情を味わっているのであり、当たり前だけれど、きちんと存在し、生きているのですね。
普通の闘病記のように、難病のつらさをクローズアップして、アリスを悲劇のヒロインに仕立て上げるのではなく、一人の人間として生き生きと描かれていたことが素晴らしく、それがなおさらに病気の恐ろしさを際立たせていました。
大好きなジュリアン・ムーアは本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞! 充実した毎日を送る美しく知的な女性が、病魔に怯え、苦悩し、そして病気の進行とともに次第に表情を失っていく様子は胸に迫りました。
足を運んだ109シネマズ二子玉川では、「アリスのままで」の隣のスクリーンで「アリのままでいたい」という昆虫ドキュメンタリーを上映中。あまりの紛らわしさに、チケットを間違えて購入してしまっていないか、何度も確認したのでした。